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カイン様も自国を大切にし、他国を虐げても栄えさせようとする様な人だ。
いわば自国が一番力を持てば戦争は起こらない。
戦争はなくなる。
――そんな考え。
でも、ジエルが勝てば現在の戦争相手、ラディアンの民は奴隷同然に扱われることになる……。
私はジエルが占領した国家の末路を見てきた。
人として生きれず、ジエルの民に玩具のように扱われ死んでいく。
全てがそうではないが、それは酷いものだった。
勝者と敗者の関係。
敗者は虐げられようが永遠に口出しする権利はない。
何故ならば運命を決める戦いに負けたのだから。
カイン様は命をかけた戦いをお互い行ったのだから当然だと言う。
負けた者はその瞬間死んだんだ、そう思えば良い。
例え共存や慈悲等の言葉はあっても、この世界ではただの綺麗事にすぎない、勝たなければ死んだと同じだ、と……。
分からない。
果たしてそうなの?
そんな世界……むなしすぎるよ。
相手方の戦導勝術士……。
この人にトドメを刺せば私の国の勝利は確実。
でも……。
私は何故だが分からないが、この人を死なせたくないと思ってしまった。
敵対している人なのに。
ましてや相手は戦導勝術士。
そんな人を助けたとバレたら私は罪人扱いだろう。
逃げればきっと裏切り者として指名手配。
そして捕まれば痛め付けられ都合良く利用され、用済みとなった最後には殺される。
……だけどこの人は悪い人ではないと思う。
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