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ならば。
ならば伽藍伽草をどうしたか。
どうすることを選んで、どうしようかと動いて、結局どうしたか。
きっと思うことだろう。
『想いを取り払った』と。
だけど違うのだ。
残念ながら、少女、伽藍伽草は想いを取り払える程に、強靭でもなければ、終わってもいない。
彼女がしたこと――それは只一つの事。
だがしかし、今、未だ悪党ではなく、悪等でもない、ましてや未だ誰の敵でもなければまた誰の味方でもなく、巨悪でもなければ邪悪でもない彼女の――……
否定も肯定も、是認も否認もしなかった彼女、いつまでも、そしていつでも中立的で中庸で――無責任でいた彼女の選択を公開することはできない。
なにせそれは――彼女のこれからに関わる異であり、事であり、そして何より、彼女が受け持つ思いの中で、最も重い思いなのだから。
今もし彼女のそんな思いを公開しようものならば、彼女はそんな思いを嫌でも認識しなければならなくなる。
今もし彼女のその選択を公開しようものならば、彼女はその選択を嫌でも想わなければならなくなる。
最も重い思いが、重い想いになってしまう。
想いの重みで、潰れてしまう。
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