第1話 大悪党降臨!!正義の味方は大反転

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   そんな重すぎるもの、そんな、想いが過ぎるもの、中身が無い、中身が亡い、中身が亡くなった虚ろでがらんどうな彼女が背負える訳が無いのだ。  想いの重さで、潰れてしまう。  重い想いで、圧し潰されてしまう。  重過ぎる想いで、潰してしまう。  両親の死肉。  両親の死の体験。  自身の零した一言の重さ。  彼女は……伽藍伽草は壊れたのではない。  壊れてしまったのでは、絶対にない。  壊れてしまえばどんなに楽かと、壊れてしまえばどんなに喜べるかと、そう思う事も少しはあったが、決して壊れたのではないのだ。  そんな都合の良い終わり方、彼女は選ばない。  ならばどうなったか?  ならばどうしたか?  簡単だ。単純明快だ。きっと誰もが普通に考えるし、きっと誰もが共感できるはずで、きっと誰もが日常的に思うハズの事だ。  捨ててしまえばいい。  取り払ってしまえばいい。  取り去ってしまえばいい。  虫のいい話。都合の良い話。  だけれど――できない話。  想いなんて普通は捨てられない。  想いなんて普通は捨てちゃいけない。  想いなんて普通は捨てようとも想わない。  だけど誰もが一度位は思うハズだろう?  だけど誰もが一度位は想うだろう? 『こんな事思うなら、感情なんていらない』 『こんなに傷付くなら、もう何も想いたくない』 『ああ嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ』 『もう辞めよう』『諦めよう』『手放そう』 『耳を塞ごう、目を隠そう、口も閉じよう』 『もう何もかもが嫌だ』  そう、誰もが当たり前に望むハズだ。  そう想わないで生きて行ける程、伽藍伽草も、惰情情惰も、これから先彼女と出会う様々な人達も、無神経じゃないし、鈍感じゃあ、ないのだから。  
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