第1話 大悪党降臨!!正義の味方は大反転

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           1  伽藍。  がらんどう。  当て字。  この壮絶ではないかもしれないが、騒々しくも創造しい、そんな物語の主人公──と語るには些か勘違いというか場違いというかなんというか、言うならば間違いとしても差し障りの無いレベルの大悪党予定の高校一年生の彼女の名前は、そんな無理矢理で支離滅裂な言葉で彩られて縛られたモノだ。  伽草。  なんて名前なモノだから、きっともしかしたらとてつもなく舌の回る、酷く饒舌な人間かと思うかもしれないが、案外そんな事はない、と本人は語っている。  伽藍伽草。  がらんがらんのがらんどうで、からからの空っぽ。  中身の無いナニカ。  何も無い虚ろ。  何も無い少女。  何も無い少女。  どこにでもいるようで、どこでもいない。  だけどそれは決して特別だなんて訳ではなく、同時に特殊だなんて訳でもなければ、特異なんて訳でも、無い。  無い。無い。無い。  無為にして無意、無偉であって無易。  後に大悪党と呼ばれるに値してしまい、直ぐ後に巨悪に選ばれてしまい、日常というがらんどうが満たされてしまう事になる、何もナイ少女。  酷く虚ろで酷く空っぽの彼女の人格や人となりを解説するには、イマイチ、今ひとつ、微妙に理解しがたく理解し得ない為、解説は避けよう。だがしかし、伽藍伽草という一人の少女は──どうしようもなく虚無で、そしてどうしようもない程の悪党だと──小悪党だの巨悪だのなんてちゃちなモンじゃない程の──どうしようもなくぶっ飛んでブチ切れた程の極悪だって事は、確かであった。  
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