第1話 大悪党降臨!!正義の味方は大反転

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   結局、気持ち悪いものは、気持ち悪いのだから。  結論、気持ち悪いものは、何だろうと目を逸らしたくなるのだから。  両親の惨たらしい死肉の塊だなんて当たり前だし、グロテスク極まりない両親の死の体験の彷彿なんて思い出したくないということも、ましてや自分が大切(だったかは、伽草は覚えていない)な両親を『気持ち悪い』と零したことも。  目を逸らして、眼を反らして、瞳を空にしてしまいたくなるものなんだから。  だけど。  だけど少なくとも。  少なくとも彼女、伽藍伽草はそんなことは、依然、想わない。思うだけだ。  ただなんとなく生きていて、なんとなくそこにいて、なんとなく思って、なんとなく色々考えている彼女が、虚ろが具現したように中身すっからかんの彼女が、そんな中身がさぞかし詰まっているようなコト、想えるハズもないのだから。  両親の死肉の塊は?『気持ち悪い』  両親の死の体験は?『気持ち悪い』  両親(の死肉)に対してどう思った?  『気持ち悪い』  自分の意見が亡いわけでも無く、自分の意志が無いわけでも亡い。  自分の意志も、意見もあるし、価値観だって感情だってある。  痛いは痛いし、苦しいは苦しい。  悲しいは悲しいし、辛いは辛い。  勿論、楽しいは楽しいし、嬉しいは嬉しい。    
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