【Ⅲ】

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泉澄のあとを視線だけで追う。 大好きな泉澄。 七夕とは違って背が高くて声も低くて、逞しくて。 泉澄の全部が好き。 伝わってるかなぁ。 伝えたいのに、声や言葉が思うように出ないのは何でかなぁ。 言わなくても大好きって、伝わるの? 知らない人が言った「五分」ってどれくらいかなぁ。 「五分」って何か、よく判らないよ。 「泉澄、まだなの……?」 七夕はずっと待ってるのに。 バチッ!! 「──ッ!?」 目がチカチカする……。 背中が痛い。 「──ッ!!」 何!? なんなの!? 凄く甘い匂いのハンカチで、鼻と口を塞がれる。 あれ……? 眠たい……。 でも、泉澄、待た……な、きゃ……。 七夕の意識が、離れた。
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