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頭が痛い。グラグラする。
それに、身体中痛い。
「おーはよ、広瀬」
「……だれ、なの?」
夜になっちゃったのかな。
凄く真っ暗で、何も見えない。
「んー? あぁ、お前教室いないもんなぁ。生徒Aでいいよ」
「七夕、泉澄、待ってるの。でも、暗いの。見えないの」
「そりゃアイマスクしてるしな?」
あいますくって何?
それしたら真っ暗なの?
それに、
「なんで身体、動かないの?」
「お前ってバカなの? 縛ってるからに決まってんじゃん」
判ってるよ、そんなの。
七夕はそれがなんでか知りたいの。
「バカなの、お前なの。早く離すの!!」
ガンッ!!
「ひゃっ!?」
「黙れよ」
なんなの!? 何の音なの!?
七夕、どうなるの!?
「……こ、わい……の」
「だいじょーぶだいじょーぶ。ちょーっと付き合ってくれたらすぐにカイホーしたげるから」
さっきから喋ってる人と違う声がする。
一人じゃ、ないの?
「んー、俺は生徒Bでいーよー? ねーねー、七夕っちー。俺とキスしない?」
「き、す……?」
一瞬だけ、Bが何言ったのか判らなかった。
「そー、キス。しよーよ」
「や……やだ!!」
「えー、なんでー? 泉澄とは公然でもするのにー。なにー? 俺じゃ不満?」
「七夕、お前、嫌いなの!! 七夕、泉澄、待つの!!」
「ふーん……。泉澄ならいーんだ? ならさぁ、」
目の前が明るくなった。
眩む視界に目を細めて、焦点を合わせる。
「え……?」
目の前にいたのは──、
「初めまーして。俺は泉樹」
あまりにも泉澄に似た人。
「青葉泉樹。泉澄の片割れだよ」
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