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七夕は基本的には授業を受けない。免除対象なのだ。
と言うか受けられない、が正解かな。
第一に、七夕は人の視線や声に酔ってしまう。
そんな七夕に理事長が、
「なら生徒会に入ったら? 基本的に免除だし。ついでに泉澄ちゃんも入んなよ。お世話係やるなら免除したげるよーん」
そんなわけで今は生徒会室。
「おはよーござーまーす」
「……はろ、なのー」
「姫ーっ!!」
入るなり、七夕は色んな生徒会役員に抱きつかれていた。
「ちょ、先輩やめてくださいよ!! 七夕が困ってるでしょ!!」
すると、
「うっさいなぁ。キミって何? 姫の騎士でも気取ってるつもりなのー?」
怖ぁ……。
七夕には親衛隊やらファンクラブやら愛好会が出来るほどの人気がある。
「しょき、さん? あのね、泉澄、怒らないの。泉澄、ね? 七夕、……んー?」
「どうした、七夕?」
「七夕、言いたいこと、忘れたのー」
照れたように笑う七夕。
この片言な話し方と天使のような微笑みが純度満点天然鉱物だから人気なのだ。
「姫の微笑みキター!!」
「俺、マジ死ねる」
「天使が舞い降りた……」
だ が し か し。
こんなとこにいたら七夕に悪影響だ。
俺個人としては生徒会なんてサボってラウンジでゆっくりしたいなぁ、なんて。
「あ、青葉。これ職員室な」
渡されたのは全校分の生徒会便り。
うわぉ。重いー。
「七夕も行くのー」
「姫はここにいよーよ、ね?」
書記がやたらと七夕に絡む。
ちょーっと見ててイラつくかなぁ、なんて。
つか気やすく七夕に触んなばっちぃ。
「七夕、泉澄と──」
「そんなこと言わずにさぁ」
ぶち☆
俺限界。
「さっきから聞いてりゃ──」
「しつこいのー!!」
「うわっ!?」
あ、七夕がキレた。
普段あんまり声張らないから咳き込んではいるけど、
「七夕、泉澄と、一緒、いいって……ゲホッ、言ってる、の!! ……しょきさ、ゲホッ……しつこい、のー!! 嫌い!!」
それだけはっきり言って、
「泉澄、七夕も持つの。……早く、行くの」
「……はい」
良くも悪くも、七夕にはその場の空気を変える力があった。
「案外俺って、いらないのかもな」
ボソッと呟いて、嘲笑った。
「泉澄、いらなくないの」
七夕は俺の数歩先で振り返り、
「泉澄、好き」
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