第1話

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いちいちかっこつけた言い回しが好きな青葉教授だが、要するにヨーロッパの錬金術は魔力がなきゃ何もできないって話だ。 「しかし、いかに高スペックな人間でも、持てる魔力などたかが知れている。パラケルススの目標とした、最高神オーディンの召喚には途方もない量のエネルギーが必要だった。それを錬丹術で補おうとしたのだが、地球がそれを拒んだのだそうだ。」 地球規模できたか。でかいな。 ここまで話を聴くと、じゃあ練丹術に召喚のプロセスを組み込んだ方が早くね?という思考に行き着く人も多いだろう。勿論詳しく錬金術を知らなければ俺だってそうパラケルススに文句をつける。だが実はそうできない理由がある。練丹術は複雑な錬成ができない。例えば 「実際にどうだっかは現代の記録には残ってない。残っていないというより、文献に載っている言葉の書き方だと、解らないと言っていると解釈するのが一応は正解だろう。ただ、その原因には諸説あり、理論的には完成していても、仕組み的に似てはいても異なる術式で発動するものは組み合わせることができなかったのではないか、そもそも理解しきれず組み合わせ方が解らなかったのではないか、パラケルススの技術に問題があったのではないいか、など多岐にわたる。その中でも我々の間で意見が強いのが、地球に拒絶されたから、という説だ。」 最早チョークの音の間を、シャーペンの音がすり抜けない。皆寝てるのか、起きている生徒は落書きか...まぁ錬金術史を単位足りないから仕方なくとかで取ったやつもいるだろうし、興味ないやつにとっては面白くないよなぁこんな話。単位足りないのは自分のせいだが。 「相性の悪い原因がわからない以上、この説が最もしっくりくると私は思っている。もし私が地球の意思であるなら、魔力を持っている人間に更なる力を与えてはつけあがるだけだからな。調子こかれて文明滅ぼすのは人類の勝手だが地球環境まで破壊されてはたまったものではない。辻褄があうな。」
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