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気が付いたら2人は、足元に細かな字が書かれた床、周りに知らない女やオッサン、ついでに洋風な建物の中にいた。
「ほ?」
「ん?」
2人はぱちくりと目をまばたかせるが…。
「愛ー、あーん」
「あーん」
そのまましていたことを続行した。
ラブラブな雰囲気を取り巻かせる2人に、周りは騒然。
「ゆ、勇者様が2人?!」
「しかし片方は女だぞ!」
「男が勇者なのか!?」
「いや2人ともという場合も…」
「こんなこと歴史上初めてだ!!」
「王様!これは一体!」
「王女様!」
「わ、私にもわからん!」
「…………かっこいい…」
「愛ー」
「純…」
カオスであった。
間。
とりあえず、自己紹介をすることになった。
「私はダン・ラシス。このラシス国の国王だ。この度はこちらの勝手で召喚し、申し訳ない」
国王と名乗った男が頭を下げる。
「にゃはっ、勇者召喚とかテンプレー」
「迷惑だ」
「召喚したのは何でー?テンプレに、魔物が増えたとか、魔王が復活したとか、そんな感じ?」
「な、何故それを?!魔物が異常増加しており、騎士や自治隊では足りんのだ。それで人が少ない村などから被害が拡大している。魔物の異常増加は魔を統べる王、魔王の仕業だと見当をつけている。だから、勇者には魔王討伐を頼みたいのだ」
「こっちの強い人たちはー?」
「魔王は伝承で、勇者が持つ聖なる力でしか倒せないと言われているのだ」
「言われてるだけか?試してないのか?本当に勇者以外には倒せないのか確認することもせず、異世界人を拉致誘拐し、勇者を強要して戦地に送り込もうなんて正気じゃないな」
「うぐっ」
「愛ー、そんなホントのこと言ったら哀れだよー」
「ほ、本当に申し訳ない!!どこまでもこちらの勝手なのだ!出来ることはする!!」
「わたくしからもお願いします!こんなワガママでしかないことですが、わたくしたちでは対処に追いつけず、犠牲になる民が増えるばかり…!お願いいたします、この世界をお救い下さい!!!」
波打つブロンドに、ボンキュッボンなスタイルな美女も頭を下げた。
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