宇宙同盟への道

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 地球から絶えることがないと思われた戦争。いくつもの命が犠牲になり、いくつもの悲劇が起こった。それは、今も昔も変わらない。それが、止む時が訪れた。人類が滅亡したからではない。人類は未だ、健在なのだ。  ならば、何故、戦争が止む時が来たのか。それは、宇宙船によってやってきた一人の宇宙人からの誘いであった。 「私はカール星からやってきました」  カール星からやってきたと語る、カール星人は真っ先に国連のある本部を訪れ、厳戒態勢が布かれる中、国連総長に挨拶をした。 「い、いったい、どのようなご用件で地球に訪れたのでしょう」  国連軍も初めは宇宙人の存在を信じようとしなかった。新手のテロ組織かと思い本部に近付けさせまいと、徹底抗戦してきた。だが、カール星人は地球のあらゆる武器を無力化し、何事もなかったかのように国連の代表者である総長のところへとやってきた。  圧倒的な科学力。これは、地球上のモノではない。 「コホン。まず、最初の言葉として、おめでとうございます」  軽く咳払いをするカール星人の口から出た言葉は意外であった。友好の挨拶でなければ、人類への全面降伏の要求でもなかった。  総長並びに役員が驚いていると、カール星人は続けて言った。 「この度、太陽系第三惑星地球は『宇宙同盟』、新加入星の候補として挙がりました」 「宇宙同盟とは、何ですか?」 「宇宙同盟とは高度な技術力、高貴な精神を持つ者達によって結ばれた組織です。まあ、国連の宇宙版とでも思っていただければ・・・」 「そ、それは、本当ですか!」  総長達は顔を見合わせ、喜びの声をあげそうになった。今まで、空想の中でしかなかった他の星との同盟。それが、向こうから声がかかってきたのだ。  そんな喜ぶ総長達とは対照的にカール星人は厳粛な顔をしていた。 「喜ぶのは早いです。あくまで、候補に挙がっただけというのをお忘れなく」 「あ、そうでした」  カール星人の指摘に現実に引き戻された総長達は落ち着き、改めて彼をみる。いくら、候補に挙がったからといって簡単に選ばれるほど、楽ではない。何事も、何かしらの条件がつけられるはずだ。そうで、なければ、『候補』などと言わず、最初から同盟を結ぶ為にきたはずだ。
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