宇宙同盟への道

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「私はカール星人ですが、同時に宇宙同盟の監査官でもあります。この地球という星が、同盟するに相応しいか、どうか、それを監査しに訪れたのもあります」  総長達はドキリとした。よりにもよって、同盟を結ぶべき星かどうかを見定めにきた人物に手を出してしまったのだ。相手は傷付いていないとはいえ、これは地球にとって大きなマイナス評価となるのは必至だった。 「結論から申し上げますと、残念ですが、地球はまだ私達との同盟を結ぶのに値しない星であると判断せざるおえません。理由はお分かりですね」 「はい。争いを止めず、常に相手を出し抜こうとする。私欲のみを追求し続けているからでしょう」 「大筋合っています。文明は、まだまだ、私達に比べると幼稚ですが、同盟さえすれば、技術力は共有することになり、文明は大きく跳ね上がることになるでしょう。しかし、一番の問題は、この星の住民の精神が非常に乏しいところです。下手に文明の利器を与えれば、必ず、戦争に転換しようとしてしまう。そのような星とは、残念ですが同盟は結べません」 「ごもっともな意見です。しかし、私達も今まで地球という狭い庭で生活をしてきました。その間に、民族、宗教、思想など様々なモノが生まれ渾然としてきました。精神面が未発達なのは、それら幼稚なモノに、いつまでも縋り付いてきたのが、原因かと・・・。あなたのような存在がいることが、世界中に知れ渡れば、争いは一掃され誰もが平和に暮らせる地球へと生まれ変わることでしょう。そう!私は、悟りました!今こそ、人類はあらゆるものから独立すべきであると・・・」 「なるほど、戦争というのは、狭い庭の争いですか」 「そうです。今こそ、外界を拓けば、きっと、私達は成長できることでしょう」  総長は必死であった。もし、カール星人に飽きられ地球を見捨てられたら、次に同盟を結べるようになる日がいつになるか分からない。自分が国連総長の立場でいる内に何としても同盟を結びたかった。  そうすれば、歴史上の偉大な人物の一人として名を残すことができるから。
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