『シモンズ・サーガ』の世界

“天空”について

　そして“天空”の生活は、完全な自給自足の循環型社会です。

　水も食べ物も水耕栽培され、汚水や廃棄物は分解し肥料として使い、蒸留水を飲用しています。
　野菜や果物、家畜等は遺伝子を元にいくらでも生産可能です。

　空気も街路樹等の遺伝子改良を施した植物に生産させ、人工太陽が東から西へ二十四時間かけて循環しています。

　交通手段は全て電動タイプの乗り物で、ガソリン又はハイブリッドタイプの乗り物は禁止されています。

　もちろん季節の変化は存在しません。常に晴天で、夜間は月も星も浮かびません。その代わり街灯が発達しています。

　そんな環境で暮らす間、“天空”の神々の色素は薄くなり、繁殖能力も退化しました。

　そのため“天空”に子供はいません。その代わり住人はほとんど二十代前後の若者で、何らかの罪を犯した人々は年老いていきます。