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修ちゃんがいなくなって、ポツンと俺は道路の真ん中に立たされていた。
夕焼け空がやけに綺麗で、陽炎がユラユラ揺れている。
自分だけ、別の世界に取り残されたような感覚だ。
「…なんやったんやろう。」
今の数分のやり取りで俺と修ちゃんの人生が大きく変わった気がした。
しばらく放心状態になっていると、
『柴田凛。
目の前にいるコウモリについて来て下さい。』
今日の朝、聞いた声だ。
声の主を探すが案の定見つからず、言われたコウモリを探した。
第一日が出ている時間にコウモリなどいるのだろうか。
「えぇ…」
思わず目を見開く。
桜の木かなにかの並木道の一本の木に、大きなコウモリがとまっていた。
「こいつのこと?」
少ししゃがんでコウモリと視線を合わせる。
コウモリは首を傾げると、ばさばさと翼を広げた。
そして木から離れ、飛び立った。
「わ…ちょっ…」
飛ぶスピードが尋常じゃない程速いので、慌てて走り出す。
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