凛と修

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その小柄な体からは想像出来ないような力を発する。 だから俺はあんまり修ちゃんを怒らせないようにしている。 ふと鞄に目をやると、ピンク色の紙のような物が、チャックの間からひらひら揺れていた。 「…なんやこれ。」 グッと、それを引っ張ると、「プチっ」と、音をたてて破れてしまった。 「あ…」 その何かは花びらだった。 細長くて、ふわふわしている。 「なにそれー?」 修ちゃんが、花びらをぼーっと眺めていた俺に気付いて、俺の顔を覗き込んで来る。 「あぁ…なんか鞄に入ってた。」 そう言って修ちゃんに、花びらを渡す。 次の瞬間_____ 「凛…今日どこに行ったん?」 修ちゃんの手はわなわなと震え、花びらを力強く握りしめている。 「…へ?」 「今日どこに行ったん!?」 胸ぐらを掴んで怒鳴って来る修ちゃんに恐れおののく。 なんでそんなに感情的になっているのだろうか。 修ちゃんは異常なまでの"焦り"を顔に浮かべていた。 「え?学校行って…そのままどっこも寄らんと修ちゃんの学校来たけど…?」 「花畑とかに行かんかった!?」 花畑…? 行くわけないだろう。 俺は花が嫌いなんだから。 「花畑ぇ?修ちゃん知ってるやろ。俺が花嫌いなん。」 そう言った瞬間、修ちゃんは俺から離れ、息を吐いた。 徐々にいつもの修ちゃんの落ち着きが戻っていった。 「……修ちゃん?どうした…」 「いや、ごめん。なんもない…」 修ちゃんは、下唇を噛み締め、何度も瞬きをしていた。 「ごめん。先に帰っといてくれへんかな…」 修ちゃんが、足を止める。 今日の修ちゃんはおかしい。 今日はなにかがおかしい。 でもそのことに触れたら何かが壊れる気がした。 「うん…修ちゃん待っとく。」 振り返って、ニコリと笑ってみせる。 この笑顔は俺が生きてきた中でナンバーワンの作り笑いだろう。 修ちゃんは悲しそうに微笑むと、また「ありがとぉ。」と優しく呟いた。
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