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落ち込んだ様子で歩いていく4人の背中を見送り、僕はカナンと顔を見合わせた。
「なんか、悪いことしちゃったかなぁ」
「そうだね……とりあえず、ギルドまで行こっか」
カナンが苦笑いしながら、僕の手を取り転移魔法を唱えた。
ーギルド、アルカナー
「ここに来るのも久々な気がするね」
僕はギルドの扉を開けながら、カナンに声をかける。
「そうだね、中はいつも通りな感じだけど……」
ガヤガヤと朝から酒を飲みながら騒いでる、冒険者達の横を通り、ギルドのカウンターまで向かう。
「あら、2人とも今日は討伐の任務でも受けに来たの?」
カウンターから声が掛けられる。
そこにはカナンの母、アリアナが居た。
「そうなのー、友達と行こうとしてたんだけど
お兄ちゃんがいらない事言うから、皆落ち込んじゃって……」
「あら……でも、お兄ちゃんは皆の事を思って言ったんじゃないのかしら?」
アリアナはしっかりと子供の事を見ていて理解しているようで、そう言った。
「まぁ、一緒に訓練してたら強くはなっていくし
今後は一緒に行けるようになるでしょ」
僕としても、仲間は多い方がいい。
本格的な訓練は、まず自分がもっと強くならないと見ていくことは厳しい。
そう思い、寮の自室を空間属性と時属性で、空間拡張と時間遅延を施し、老いもしないし、空腹にもならないご都合主義な訓練室を作り、50年ほど鍛えていた。
それでも、やはり1人での訓練には限度がある上、実践に勝る訓練は無いと思いカナンとここに来ている。
「討伐系でAランクのもの5~6件やりたいんだけど良いのない?」
カナンがアリアナに必要事項を伝え、任務の詳細を決めている間に、僕は外に出て世界神リートに念話を送る。
「おーい、リート聞こえる?
聞きたいことあるんだけど今いいかな?」
5秒も経たないうちに、リートの声が頭に響く。
「どしたのー?
今他の子からも連絡来てるから、急ぎの用事なら先に聞くけど…」
相変わらず脳天気な感じだ…。
「いや、一応この世界に今魔王は居るのかなーって」
「居るねー…魔神はまだ……かな?
ごめんよ、何をしてるかまで把握出来ないように
認識阻害の魔法を掛けられてるみたいで……
神と魔神とじゃ、相性が悪いんだよね……」
神も大変みたいだな。
「おっけ、ありがと
まだ今の状態じゃ魔王も厳しいだろうし、もっと頑張らなくちゃね」
僕はそう伝え、そのままギルドに戻った。
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