雷の章~はじまり~

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僕が戦闘態勢に入ったからなのか、無数の触手は一斉に襲いかかってくる。 (ワームって言ったって出てるのは触手だし、本体は…) そんなことを考えていると既に僕の目の前には触手が迫っていた。 僕は何とか上体を逸らし触手を躱し、その反動を利用しバク転して距離を置く。 身体が思うように動くことに感動を覚えながら、僕は迫ってくる触手を捌いていた。 「全然目で追えるし、これならいけ…ぐっ!!!!!」 僕が少し余裕ぶった瞬間に横っ腹に触手のきつい一撃が入る。 衝撃に吹き飛ばされた僕は少し冷静になった。 (命を懸けて戦う世界なんだ…舐めてたら死ぬな…) 僕はリートから貰った魔法知識の中から初級の雷の魔法 『雷玉』を使ってみることにした。 (魔法はイメージ、詠唱はイメージの補佐をする役割… イメージをしっかり固めれば…) 僕は掌に血を集めるようなイメージで魔力を貯めていく。 (そこから…雷を圧縮した玉を作り出すイメージで…) 魔法を使うためにイメージに集中しており、腹に触手の攻撃が当たる。 集中が途切れ掌に集まっていた雷は霧のように霧散してしまった。 「戦うのって意外と難しいんだね…」 そんな軽口を挟みながら僕はまたイメージを開始する。 次は触手を見切り、避けながらイメージをしていく。 カチリと頭の中でイメージが固まったような感じがして、掌を見ると直径10cm程の雷玉が現れていた。 「出来た!!!」 僕は歓喜の声を上げながら、触手に向かって雷玉を放つ。 雷玉が触手に当たると同時に、触手は蒸発していくように次々と消し飛んでいく。 直線状に居た触手は全て消し飛んだ。 しかし雷玉は勢いが止まることなく、少女の方へと向かっていく。 「やっばい!!!!!!」 僕のイメージでは、放ったタイミングで雷玉を自由にしてしまった為、消えろとイメージするも全く操作がきかない。 やばい! 当たる!!! そう思ったタイミングで大柄の男が少女の前に現れ 素手で僕の雷玉を握りつぶしていた。
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