雷の章~はじまり~

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「え…?」 僕は剣を向けられていることに動揺し、咄嗟に掌に魔力を集める。 しかし、その後に僕が見たのはその男の拳だった。 気付いたら地面に倒れていた僕。 頭がグラグラする。 顔も痛い。 殴られたのか…? 何で…? 「抵抗すんなよ? あまり傷つけたくはないからな」 男は冷酷にそう言いながら歩いてくる。 怖い。 死にたくない。 何で? 僕悪いことした? 何でなの…? ジャリっと男が土を踏む音が真横で聞こえた。 「ひっ…」 僕の口からはそんな声が漏れ、身体を起こし逃げるように身体を引きずることしか出来なかった。 「待てよ…急に殴って悪かった 抵抗されると思ってな、つい咄嗟にやっちまったんだ 反応をみる限り怪しい感じではないし普通の子だよな 平気か?すまん、すぐに治療するからな」 先程とは違う優しい声で話しかけてくる男。 恐る恐る顔を上げてみる。 男はこっちに歩いてきて、ゆっくりと僕の前に腰を下ろした。 よく見ると綺麗な金髪に、綺麗な金色の目 非常に顔が整っており、その顔も少し気まずそうな顔になっていた。 「動くなよ…治療すっから」 淡い光を手に宿した男が僕の頬をスっと撫でる。 「んっ…」 心地よい温かさと、急に頬を触られたことにより少し声が漏れる。 「変な声を出すな、集中出来ないだろ」 男は顔を少し赤くし、背けながらそう言った。 何で顔赤くなってるの…そっち系ですか…。 (※作者はゲイで腐男子でもあるのでたまに腐の匂いがします) 痛みが引き、むしろ先程より万全の状態になった僕は 男にもう大丈夫と伝え立ち上がった。 「すみません ありがとうございます 詳しい事情もお話したいので、あそこに倒れている少女を安全なところに移動してお話しませんか…?」 僕は服についた土埃を払いながら男にそう言った。 「あぁ、そうするか 先に名乗っておく、俺はべリク 世界樹の森の前で住んでいる あそこに居るやつは俺の妹のカナンだ」 まさかの兄妹。 僕必要なかった気がする。 「僕は鈴鳴 雷夜です」 「変わった名前だな」 「それは後ほど説明しますね」 そんなことを言いながら僕はべリクの家にお邪魔させて頂くことになった。
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