雷の章~はじまり~

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数分くらい歩いていると、木造の家が建っていた。 「ここだ、入ってくれ」 気絶した妹のカナンを小脇に抱え、扉を開け家に入れてくれた。 中は思ったより広く、きれいに掃除していた。 「お邪魔します…」 座っててくれと言われ、ソファーに招かれ座っていると、ベリクはマグカップを二つもって横に座った。 カナンは寝室に寝かせたみたいだ。 「ココア入れてきたんだが飲めるか?」 「あ、ココア大好きです、ありがとうございます」 「そうか…」 ベリクからココアを受け取り、笑顔でお礼を言うとまたもや顔を背けた。 (変な顔してたかな?) そう思いながら受け取ったココアを一口も飲む。 「あ、おいしい!」 甘みの中に苦味もあり、芳醇なカカオの香りが口に広がる。 そんな僕をじっと見ているベリク。 「お前みたいな子供が何であんな森のど真ん中に? 落ちてきたってどういうことなんだ?いろいろ聞いてもいいか?」 あんまりじっと見られるのが慣れてない僕は、少し照れながら話を始めた。 転生のこと、僕が高校1年生、こちらで言う高等部1年ということ この世界のことはある程度知識をリートからもらっていること 実戦経験が全くないこと、僕の特殊能力や武器、グロムのこと すべて話していると、いつの間にか外は暗くなっていた。 話の最中に表情がコロコロ変わるベリクが少し面白く感じた。 年齢のことを言ったときはすごく驚いていた。 「あ、しまったこんな時間か そろそろ父さん達が帰ってくるな、紹介するよ」 ベリクの家族構成は父、母、ベリクと妹 一般家庭な感じの構成だが、父と母の仕事を聞いたらびっくりした。 父は王国のギルドのマスター 母はそこの受付をしているそうだが、実は光帝という光の最上級の魔道士だそうだ。 要するに母は強しってやつだね。 ベリクの父と母が帰ってくるまで少し雑談をしているとカナンが寝室から出てきた。 「あ、えっと…どうも…」 カナンは家に僕が居る事に驚きながら挨拶をしてきた。 その後僕は簡単にカナンに同じことを説明した。
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