雷の章~はじまり~

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草木を掻き分けながら走っていると森の中の開けた場所に出た。 「こっちから聞こえたと思うんだけど…」 そう言いながらキョロキョロしていると端っこの方に木にもたれ掛かっている少女を見つけた。 少女は酷く怯えていて、自分の体を抱き締めて震えていた。 (なんて声をかけよう…そもそも言葉は何を喋ればいいんだろう…) そう物思いにフケていると少女がこちらに気付いた。 「あなたこんな所で何してるの?! そんなことより! ここら辺に虫が居るから逃げないと… 助けて!!腰が抜けちゃって立てないの…」 日本語ではない言語だが何故か分かる。 (って、そんなこと考えてる場合じゃない!) 「虫?!何処に居るの?見当たらないけど…」 そう言いながら少女に近付こうとすると地面が揺れた。 何か危険を感じた僕は咄嗟に後ろに飛び退く。 すると僕がさっきまでいた場所には無数の触手が暴れ回っていた。 「あっぶな…!なにこれ…」 その触手は僕に狙いを定めたようで、同じような触手が至る所から飛び出していた。 もう既に少女は死を覚悟しているようで、目を瞑っている。 「なんか最初っからやばそうな感じ… グロム!こいつなんなの?!対処法は?!」 僕は焦りながら後ろに居るグロムに問いかけた。 しかしグロムは呑気におすわりしたまま 「んー、こいつはワームなのだ そんなに強くないのだ サクッと殺っちゃうのだライヤ」 えぇ…少女すっごい怯えてるじゃん…弱いわけないじゃん…。 とりあえずグラディウスを腰から抜き、体に魔力を纏わせる。 もちろん少女も居るから抑えているつもりだけど…。 まぁ、魔力コントロールの仕方よく分かんないから雰囲気でやってるけどね。
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