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「…生徒会役員選挙当選結果…」
掲示板に貼られた紙をなんとなく眺める。
生徒会長…2年 壱月 怜央
「…決選投票勝ったんだ…」
確か決選相手は3年生だったのに…。
すごいなぁ、なんて思いながらあたしは鞄を持って教室を出た。
下校時間はとっくに過ぎてしまい辺りは暗い。
早く帰らなきゃ。
少し小走りに廊下を進んでいると前方から誰かが歩いてくる足音が聞こえてきた。
「げ…っ」
もしかして先生!?
下校時間過ぎてるのに校内に残ってるってバレたら怒られる…!
あたしは暗い廊下でひとりおろおろして、でも隠れるところもなく…。
「…っ」
仕方なく…というか苦し紛れに壁にへばりついて壁と一体化を図ることに。
く、暗いからね!
目の悪い先生だったら気づかないはず…!
お願い気づかないで!!
次第に大きくなる足音と自身の鼓動を感じながら、あたしは静かに息を飲んだ。
コツ…コツ……コツ。
「…壁が好きなのは結構だが、下校時間過ぎてるぞ楓」
「…あっ、中山先生」
あたしの担任、中山先生は呆れたように廊下に立ち尽くしている。
あたしは軽くスカートを払い、先生に向かってにっこり笑う。
「では帰ります!さようなら!」
「待ちなさい」
がしっと制服の襟を掴まれあたしは硬直。
「楓、下校時間を破ったら?」
「その人が所属してる部活動の活動停止ですよね!でもあたし部活入ってないんで」
「部活に所属してない場合は、反省文と一週間校門の掃除な」
「え……?」
「とりあえず反省文の用紙渡すから職員室行くぞ」
「えーーーーーーっ!!!」
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