第1話 簡単に言えば俺のパシりだ

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「あなたさっきから何…」 「すいません先生。そうゆう訳なのでもう少し楓君をお借りします」 「おーおー。生徒会の手伝いなら仕方ないな。楓もそうならそうと言えよなー」 「え…先生!? ちょ、待っ…ん!!!」 嫌な予感がして 去っていく中山先生に助けを求めようとするが生徒会長の手があたしの口を塞いだ。 何…なんなの!? 「…助けてやったんだから少しは感謝しろよ」 「は…!?」 会長はあたしから手を離すと、先程の爽やかな笑顔はどこへやら無表情でそう言った。 「だから、俺のおかげで反省文と掃除を免れたんだから感謝しろって言ってんの」 「え………なんで知って…」 「全部聞いてたから」 盗み聞きかい!! あ、だからあたしの名前…! そーゆーことか…。 「…えと…ありがとうございました。それじゃ…」 「待てよ」 「え…?」 帰ろうとしたあたしを呼び止めた彼は相変わらずの無表情で続ける。 「言っただろ、人手が足りねぇって。お前も手伝え」 「は…?」 「助けてもらったお礼に手伝えって言ってんだよ」 「…何を…?」 「対面式の準備だよバカ。人の話ちゃんと聞いてんのかお前」 …さっきと全然喋り方違う。 言葉遣い悪いし、なんか怒ってるし。 …この人超猫かぶりじゃん…。 呆然としながら冷静に分析していたあたしの腕をいきなり会長は引っ張った。 「ちょっと!?」 「時間がねぇんだよ!」 いや知りませんよそんなこと! なすすべもなく引っ張られ、あたしは生徒会室に連れてこられてしまった。
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