69人が本棚に入れています
本棚に追加
生徒会室の扉を乱雑に開けた会長は中にあたしを押し込んだ。
わ…。
あたしは中の様子を見て少しびっくり。
教室二つ分くらいの広さに立派な机やソファー、何故かミニキッチンもありかなり豪華だ。
さすが私立高校…。
しかしあたしが驚いたのはそこではなく…。
「おい怜央!! この忙しい時にどこ行ってたんだよ!!」
「息抜き」
「はああ!?」
「会長大変です!! 注文していた花がさっき届いたんですけど、間違えて倍も届いちゃって…!!」
「壱月くーん、私もう眠いから帰りたいんだけどー」
「怜央、体育館のグランドピアノをバスケ部が壊したらしくて明日使えないって先生に言われたけどどうする?」
机には何やら書類のようなプリントが散乱し、床には紙で作られた花と風船がたくさん…。
…この慌しさは尋常じゃなかった。
「三澤、余った花は新一年の各教室か職員玄関に飾れ。
呉白先輩はもう少し頑張ってください。
陽向、確か去年吹奏楽部が校歌を演奏してたよな?部長に連絡して可能かどうか頼んでくれ」
会長は的確にみんなに指示をだすと、会長専用の席にどっかり座り書類を書き始めた。
…あたしはどうしたら…?
「あの…」
「何…」
恐る恐る話しかけるとこちらを見ることなくめんどくさそうに会長が答える。
いや、何、じゃなくて…。
「あたしは……?」
「折り紙で花作って。出来たら風船」
「…はい…」
「てか誰この子?」
何ともいえない雰囲気の生徒会様を前に帰ることを諦めたとき、一人があたしを指さしてそう言うと 慌ただしく動いていた生徒会役員が皆一斉にあたしを見た。
えー…と…。
「ボランティア。その辺で拾った」
困っているあたしの代わりに会長がふた言で説明。
ボランティアじゃないし…。
あたし無理矢理拉致されたみたいなもんだし…。
最初のコメントを投稿しよう!