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小鳥のさえずりで目を覚ます朝。
私の部屋は仏壇の隣。
和室に敷いた布団を畳み、押し入れに収納し、壁に掛けられた遺影に手を合わせるの。
「おはようございます、ひいお爺様、ひいお婆様。
今日も私と海外にいる祖父母を御守り下さい。
そして私の父母に会えます様に。
南無・・・」
私は足早に仏壇と神棚にも似たような文句でお参りをする。
そして二階に上がり、室内に干した洗濯物をベランダに出し、
一階に降り、台所に向かうと、
味噌と油の臭いを換気扇で屋外に逃がしながら、
朝ご飯を作り始める。
調理中はテレビをつける事も忘れない。
私の一日の情報源は朝のテレビが大半を占めている。
天気予報、主要ニュース、占い・・・
大学に行く前の貴重な時間だ。
私はあの時からニュースを欠かさず見るようになった。
父と母がいなくなった15年前から―
私の父母は医学部の頃から相思相愛の研究者で
祖父母も二人の仲を認めていた。
そんな二人は周りからも祝福され、幸せな結婚をし、その三年後、私が生まれた。
でも私が物心ついた頃には父母はいなくなっていた。
私は父母がいなくても凄く幸せだった。
父母の代わりに優しい祖父母が私の面倒をみてくれていたのだから。
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