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友達は笑顔で手を振る私を見て焦り始める。
「どこから出てくるの、その元気さは!?
私、二徹したけど、今日の統計学、全然取れる自信ないよ~」
「私も今日のはヤバいよ!
留奈、山教えて!!」
私は二人の肩を叩き、苦笑する。
「今から山はないでしょ。
でも先生、計算出来てなくても、
論述で点数くれるって聞いたから、
そこで頑張れば良いんじゃない?
多分、単位はくれるよ。
それと出そうな所は・・・」
留奈が薔薇柄のリュックから青いファイルを取り出し、説明しようとした時、
留奈の肩に誰かがぶつかった。
留奈が「すみません」と言って避けようとすると、
ぶつかった黒髪の青年が白い歯を見せ、爽やかに笑う。
留奈は青年を見て頬を赤らめる。
「・・・鷹野(たかの)先輩」
鷹野は留奈のファイルを覗き込み、目を丸くする。
「よく勉強してるね!
俺なんかこの授業寝てたし。
あっ、でも出題予想なら出来るよ。
四月にやったこの問題と、それと・・・」
問題を指差す時、鷹野の体が留奈に触れ、留奈はドキドキしながらも何も言えずにいた。
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