第1話 出逢い

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女はひんやりと笑った。
「私に近づくと、火傷するからよ」
「そんな物騒には見えんがな。それにさっき、騒がなかったヤツはいないって言わなかったか？」
「言ったわ。…ただ違う意味でね。髪と目がこれだから、目立って仕方なかった。特殊なのよ。私以外はみんな…色素が薄いの」
男は驚いたように女を見た。それこそ頭のてっぺんから、爪先まで無遠慮と思えるぐらいに。どこからどう見ても、完璧なまでのプロポーションの女性だ。
そして慎重に口を開く。
「…人型の生物として、どこが濃いんだ？目と髪だって？」
「そう。特殊でなければ、異端でもいいわ。納得できるなら。黒い目と髪は、死の遣い。…いいえ。死そのもの。そう信じられているわ。みんな、金髪碧眼、せいぜい栗色どまりね」

男は顔を顰めた。
「どんな辺境だ。ここには黒目黒髪なんざ掃いて捨てるほどいるぜ。少なくとも、俺には関係ねえよ」

女は微笑を浮かべた。
「今のところ、ありがとう」