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「すまない。俺はヴァーリ・オーディン。ヘリオスとは長い付き合いだ」
セラは首を傾げた。
「セラフ・コンスタンよ。…虎が獅子と仲良くするの?」
ごく普通の口ぶりだったが、ヴァーリを驚かせるには十分だった。鋭くヘリオスに視線をやる。おまえが喋ったのか?!と言いたいのがありありと見て取れる。ヘリオスは肩を竦めて微かに首を振った。
ヴァーリは改めてセラを見た。ヘリオスに注がれていたよりも、幾分柔らかい目線である。
「なるほど、ヘリオスの女除けかと思いきや、ただの仔猫とは違うわけだ。こいつはいいや」
そう言って、ニヤリと笑う。その瞬間、驚くほど綺麗に物騒な気配を消して、ヘリオスを突つく。
「相変わらずの色男ぶりだ。ちょっと踊ってこいよ」
「何でだ。目立って仕方ないぞ、そんなことはしたくねえよ」
「馬鹿か、目立つんだよ。でないといつも通りの女たちが納得しないぞ。確実に、一晩中おまえは踊るハメになる」
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