14/39
前へ
/40ページ
次へ
「すまない。俺はヴァーリ・オーディン。ヘリオスとは長い付き合いだ」 セラは首を傾げた。 「セラフ・コンスタンよ。…虎が獅子と仲良くするの?」 ごく普通の口ぶりだったが、ヴァーリを驚かせるには十分だった。鋭くヘリオスに視線をやる。おまえが喋ったのか?!と言いたいのがありありと見て取れる。ヘリオスは肩を竦めて微かに首を振った。 ヴァーリは改めてセラを見た。ヘリオスに注がれていたよりも、幾分柔らかい目線である。 「なるほど、ヘリオスの女除けかと思いきや、ただの仔猫とは違うわけだ。こいつはいいや」 そう言って、ニヤリと笑う。その瞬間、驚くほど綺麗に物騒な気配を消して、ヘリオスを突つく。 「相変わらずの色男ぶりだ。ちょっと踊ってこいよ」 「何でだ。目立って仕方ないぞ、そんなことはしたくねえよ」 「馬鹿か、目立つんだよ。でないといつも通りの女たちが納得しないぞ。確実に、一晩中おまえは踊るハメになる」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加