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ザワリ…と人々がどよめく。
「おい…あれって…」
「鉄壁の貴公子だ」
「女連れだと?」
「どういうことなの?」
「あのご婦人はどなたかしら?」
ヒソヒソと囁く。
セラは一見、口元に美しい微笑を浮かべているが、ヘリオスに囁いた。
「私、殺気を感じるのは気のせいじゃないわよね?」
「あー、まぁ、あれだ」
「怖いわね。女の嫉妬って。で、私は貴婦人のふりか情婦のふりかどっちかしら?」
「情婦ってのは似合わないな。俺が唯一気に入った初めての女って線で。できるだけ世間知らずでいい。俺が辺境の惑星で見つけた華ってことだ」
「いいわ」
「ちなみに芸はあるか?」
「音楽ね。歌とピアノならそこそこ弾けるわ」
どちらも極上の笑顔を振りまきながらの冷静な会話である。
そして、セラの手をとったヘリオスは再び驚かされることになる。
セラの動きは滑るように滑らかで、重さを感じさせない。ヘリオスのリードに遅れず、複雑なステップを踏む。
「こいつは驚いた。他に何ができる?」
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