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3年後。
あれから色んな事があった。
東京にくる予定だったつばさは、そのまま残り神野さんだけが、上京してきた。
葬儀のあとすぐに社長に就任したつばさ。
あの時のつばさが決意を述べた時、今までの何倍も逞しくみえた。
あの時、決意を述べたつばさが、つばさの父親の面影と重なった。
私につばさを託した父親に。
つばさの父親がなくなって三年忌が終わった頃だった。
そしてついに、先延ばしになっていた結婚式が、一週間後に迫っていた。
そんな時期に、私はある場所にきていた。
海が見える展望台。
波の音と青い海。
ただそこに座って眺めているだけで気持ちが落ち着いてくる。
ここ最近ナーバスになっていた気持ちを冷静に見つめる。
私は、前の仕事をやめてからつばさの会社と地域の相談室でカウンセラーをしながら働いていた。
将来を約束したつばさとは、色々話し合って父親の三年忌を向かえてから式をしようという事に落ち着いた。
長いようで短いこの期間。
この日を待ち望んでいたのにいざ式を目の前にすると不安が気持ちが胸を包む。
この時、私は27歳を迎えていた。
約束をしてるとはいえ、周りの結婚、出産を見ていると焦りや不安を感じていたんだ。
海を見つめ私はつばさの事を思う。
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