未来 by ちか

6/14
前へ
/40ページ
次へ
「私守ってみせるよ。母さんがしてくれたように」 父親が生きていた時もいなくなってからもずーっと私達を深い愛情で守ってくれた母親。 「幸せになる。この子と一緒に」 そう、私のお腹には小さな命が宿っていた。 新しい家族が。 「だから、父さん、母さん今までありがとう。見守っててくれたよね」 その時、誰かが近寄る音がした。 そこには、兄がいた。 「お兄ちゃん」 「ちか」 兄の手には母親の好きだった花が握られている。 「おまえもきてたのか?」 「うん」 「そうか」 それだけ言って兄は私の隣にしゃがみ込み線香をあげた。 「ちょっと時間あるか」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

134人が本棚に入れています
本棚に追加