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「ちか」
そう言って兄は、私に何かを差し出した。
私はそれを受け取り手を広げるとそこには、指輪があった。
シンプルなデザインに小さいなダイヤがキラリと光る。
「母さんの片見だよ」
「母さんの?」
「あぁ。まぁ社長さんがくれる指輪と比べると豪華じゃないかもだけど、父さんが母さんに送った結婚指輪なんだ」
「私に?」
「そう、ちかに。母さんは遺言状にちかが結婚するときに渡してくれって」
私は、指輪を眺めた。
母親は、仕事で指輪の類をつけていた事はない。
でも大切なものだったんだろう。
傷一つないその指輪は小箱の中でキラリと光っていた。
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