第一章 新たな力

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   その姿を見ると疫病にかかったり、卒倒し気がふれたりしたという。  また、妖らしく人を脅かしたとの話しもある。  ただ、僧侶の姿をしているからなのか、人を助けたという話しもあれば、地方によっては信仰の対象のようにもなっていた。  それを模した大きな人形をつくる、祭りのようなものまである。 「何となく、天狗の伝承に似てるよな」  いや、天狗だけでは無くこれまでに調べた妖怪について、大概は善と悪の二面性を持っていた。  善の場合は、神格化。  悪の場合は、病や天災。  特に、悪の場合に関しては人の理解を越えた事に対し、妖怪の存在を当てはめる事で、不安を和らげていたフシがある。 「この流行り病は、大入道が現れたからだとか言ってたんだろうな」  その為に、妖怪を怒らせないようにしようとした。  供え物をしたり、社や石碑などを作り崇めたり。 「その流れで、神格化したのかもしれない」  天災や疫病が起きないようにと、神ではなく妖怪を崇めているうちに、妖怪が神仏と同等の存在になった。
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