第一章 新たな力

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   妖怪の伝承とは、そういったものかもしれない。 「僕も、実際の妖と戦っていなければ、そんな風に捉えてそれ以上の興味は持たなかったかもな」  そもそも、妖怪自体に興味を持たなかったかもしれない。  洋輔は、書籍を棚に戻す。  棚に戻しながらも、ある書籍に目が止まりそれを手に取った。 「小人の伝承……」  書籍のタイトルは別のものであったが、副題としてタイトルに添えられた言葉に、洋輔は引っ掛かった。  次の相手だろうとして、大入道について調べた。  大入道に関わらず巨人の伝承については、これまでに調べた鬼や雪男なども、巨人伝承と言えるだろう。  だが巨人伝承と同じように、小人伝承も数多く伝わっている。  フェアリー。  ホビット。  ドワーフ。  そのような中にあって、日本の小人伝承でもっとも有名なのは、アイヌの伝承に登場するコロボックルが一番であろう。  蕗の葉の下の人。  北海道や樺太などに広く伝わっている伝説で、北海道のアイヌ民族の先住民がコロボックルとされている。
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