第一章 新たな力

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             弍    妖界 不死城。  その天守閣から見下ろす城下町の様子に、大きな変化は無いものの、その範囲は確実に広がっていた。  大妖の宿敵である、九条 神奈の暮らす極点の結界から北へ。  人間界の日本一の山、富士山と酷似した不死山を背にし、二連の岩山の山頂に築城された不死城。  その岩山の山肌に、城を守る結界のように城下町が広がっている。  初めは、片側の山の山頂だけだった。  それが今や、両方の岩山の山肌を埋め尽くしている。  そして、その家々には妖が暮らしており、それが妖気を高め不死城に昇華する。  それを受けた不死城と大妖は、更に力を高めて城下町に黒い妖気を降り注がせていた。  その様子を、天守閣から見下ろす妖がいた。  大入道。  今は、人と変わらぬ体躯となり、その顔の中央にある大きなひとつ目で、城下町から昇華されてくる、妖気の流れを見詰めていた。  その背に、大妖が語りかける。 『城下町に、惹かれるものでもあるのか?』 「いや、惹かれはしませんな」
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