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大妖の妖気を受け入れた妖は、強力な攻撃に消滅する事もできない。折原 洋輔の使う、武具に封じられる事でしか救われない。
そう、元には戻れないのだ。
その理を、折原 洋輔は崩した事があった。だが、それはあくまでも例外的と言おうか、掟やぶりな事であった。
妖気が、そこまで強くない妖の場合、九条 神奈の張り巡らせた結界で浄化する事が出来る。
鬼の隠れ里の鬼たちがそうだった。
だが、大妖が目を付ける程の妖が大妖の妖気を受け入れた場合、妖気に呪われ救われる事は無い。
大入道も、そうなった。
『大入道よ、何が狙いだ?』
「狙い?」
『我の妖気を受け入れて尚、正気を保ちこの場におるのだ。何か、企んでおると考えるのが自然であろう』
「企むなど、疑り深い。ただ、折原 洋輔と仕合ってみたくなっただけでございます」
大入道は、未だ城下町を見下ろしながら、大妖の返答を待っていた。
大妖は、しばらく沈黙する。
その発言の意図を汲み取っているのか、それを否定しているのか大入道には判断が出来ない。
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