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洋輔は、知らない。
折原一族が、今も妖怪退治に関わっており、それは国家レベルでの最重要機密である事を。
洋輔は、薄々感づいている。
源治が、そうした事に関わっていながらも、自分に対して秘密にしている事を。
何故、源治はそれを明かさないのか。
「洋輔は、幼い頃から利口な子でな。何かを教えると、大人が驚く程の速さでそれを身に付ける」
「えぇ、そう聞いています」
「だかな教えた時に限って、教えたところまでしか身に付けようとせんのだ」
「はぁ……」
「ところが、何も教えずに放っておくと、自分から身に付ける事を探し出し、大人の理解を越えたものを身に付けるのだ」
源治は、熱っぽく語った。
洋輔には、師はいらない。共に学んだり高め合う仲間は必要だが、それ以上にその才能を凌駕するような存在が、彼をどこまでも成長させると源治は考えているのだ。
「あいつには、人間界で我々の後ろ楯があると思わせたく無いんだ」
「はぁ、そうでしたか」
「いや、進言してもらったのに申し訳なかったな」
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