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ただ、災害目的の為に作られたシェルターでは無い。
妖界と人間界。
二つの世界は、まったくの別物でありながら、物理的に接する場所があるのだ。
それが、神楽市狛井町なのである。
接しているとは言っても、人間も妖怪も自らの意思で行き来する事は出来ない。
一部の特殊な能力を持った人間や妖怪が、それを可能にしている。だが、それにも幾つかの条件があるのだ。
だが、二つの世界を隔てるものが取り去られたとしたら、大妖の妖気により凶暴化した妖怪が人間界になだれ込んでくる。
その為のシェルターなのだ。
「それとて、一時的な避難にしかならん」
「えぇ、それにこの施設に収容できるのは、神楽市民程度ですからね」
「あぁ、妖怪が放たれれば周辺の市町村は、たちまち滅ぼされてしまうだろうな」
源治は、百鬼夜行を思い浮かべた。
空を覆い尽くす程の妖怪が放たれたとすれば、日本が滅ぼされるのも数日程度であろう。
自衛隊の武器でも、対抗し得ないと見られている。
大妖が支配する人間界。
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