序章

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   こちらでは、妖怪に対抗しうる人間はいない。  唯一戦えるのが洋輔と言ってもいい中で、出来る事と言えば妖怪絡みの騒動を抑えるだけ。  源治は、その事に表情を歪める。 「それでもと言いますか、我々もただ指をくわえてるばかりでもありません」 「そうだな……」 「九条家の末裔の探索や、妖怪を封じる術の研究も引き続きしてますから」  妖怪が人間界に放たれるより先に、それが叶うかと問われれば、かなり難しいであろう。  それでも、願わずにいられないのも人情である。 「今は、出来る事をするしか無いだろうな」 「そうですね。源治さん」  二人は、寂しげな声で会話を交わすと、無数に並ぶモニターを見つめた。  そこには、平和な神楽市の様子が映し出されている。  これがいつまでも続けばと、源治は思っていた。      
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