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高校二年の夏。
何も楽しみもない高校生活があと半分で終わると思うと、少し嬉しかった。
まだまだ先の事だけど、何せ女子高だから出会いなんてものはなく、友達伝いに紹介してもらう男の子と遊んで付き合って。
なんて事ばっかりだった。
「椿!この間の人とどうなったの?」
休み時間になると、待っていましたと言わんばかりに友達の美夏が前の席に腰掛けた。
「んー…ない。」
あはは、と少し渇いた笑いを浮かべると美夏は「やっぱり…」と呟いた。
「椿ってさ、なんかよくわかんないよね。
大人っぽいっていうか、男なんていらなそうな感じ?」
声を出しながら笑う美夏を椿は少しだけ睨んだ。
「どういうことよ、それ。
はっきり冷めてるって言ってよ。」
確かに周りからは“冷めてる”と言われる。
本当に冷めてる訳じゃなくて
楽しいこともない毎日が退屈だったってだけなのに。
「彼氏がほしい訳じゃないよ、
出会いってーのは自然とやってくるものだと思います。」
「言うね~。
でも美夏は彼氏欲しい!」
美夏は可愛いと思う。
本当に。
思ったことを素直に口に出すのに、
絶対に敵を作らない。
羨ましいと何度思った事か。
それから少しして、
放課後の約束をし美夏は自分の席へ戻っていった。
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