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家に着くなり指定された時間まであと数分だということを知り、焦ってテレビの前に座り込んだ。
このあとすぐ、インタビューが始まる。
アナウンサーの告知の後、CMに移る。
その間に制服を脱ぎ、部屋着に着替えた。
この時何かがもう始まっていたのだ。
CM明けのテレビには先輩の高校。
練習風景と部員のインタビューが流れた。
その中にはカズ先輩がチラチラと映っていて、なんだか嬉しい半面、笑ってしまう。
「先輩かわんないな…」
「それでは、見事、花園出場を決めた**高校の主将にインタビューです!」
アナウンサーの次に映った画面。
そこには男の人か一人映っていた。
惹き込まれる。
時間が止まった様に、一瞬にして
釘付けになった。
男臭いとは程遠いキレイで
整った顔。
テレビでもわかる程の長身。
がっちりした体の男の人。
生まれて初めて、
“一目惚れ”というものをした。
それからは彼の言うことさえ耳に入らないくらい
彼を凝視し、そのうちにインタビューは終わってしまった。
かっこいい。
ただその一言。
名前すら見れなかった程、キレイで、
笑った顔が可愛くて。
その日から、彼を「ウサギさん」と呼ぶようになった。
それくらい笑った顔が愛くるしくて、
真剣で。
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