0人が本棚に入れています
本棚に追加
「なにそれ、ウサギって!」
次の日、美夏はお腹を抱えて笑った。
「だってウサギみたいだったじゃん!」
「いや、確かに。椿からウサギって言葉が出てくると思ってなかった。」
またケタケタとわ笑う美夏に釣られて笑う。
「気になるなら、その先輩に言ったらいいじゃん、
紹介してもらったらいいよ。」
ニヤニヤと口角を上げながらこちらを見る美夏。
「嫌だよ、一回見ただけなのに。
って言うかテレビの中だし。」
好きとかじゃないんだと思う。
多分。
でも知りたいと思った。
彼を沢山知りたいと思ったし
会いたいと思ってしまった。
ただ一度見ただけの彼を、
忘れられないなんて気持ち悪いよな。
色々と考えているうちに
季節は夏になり
何かが動き出した。
帰りの電車の中。
光る携帯。
夏の匂い。
そっと携帯を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!