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「あのさぁ、あたしずっとね、
カズ先輩って人は椿の事好きなんだと思ってた。」
口に含んでいたお茶を吹きそうになる。
次の日の昼休み。
美夏は平然とした顔でそう言った。
「いいい、今なんて?」
「だって、元彼の先輩がなんで椿をほっとかないの?元彼と別れてかなり経つのに。その間、先輩だって彼女くらいいたでしょ?」
「そういう話聞かないな…。」
「おかしくない?椿とは繋がってたいんじゃない?」
紙パックの紅茶を飲みながら、美夏は上目遣いでこっちを見る。
「いや、そういうのじゃないと思うよ。妹みたいな感じなんじゃない?」
美夏は「ふーん。」と言って、窓の外を見た。
「そう思ってるの、椿だけだと思うなぁ。」
「え?」
聞こえないふりをしたけど
しっかり聞こえてる。
もしかしたら、そんなはずないと
思いたかったのかもしれない。
「なんでもなーい。」
美夏はこっちを見ることもなく静かになった。
ブー
ブー
ブー
ブー
机の上で携帯が鳴る。
小さな液晶の窓に先輩の名前が流れた。
それを横目で見た美夏は、また
「ふーん。」と言いながら笑う。
ーーーーーーーーーー
受信:カズ先輩
件名:返事遅れた
本文:すまん、部活忙しくて。
それから、俺は花火大会
行かないわ!
ーーーーーーーーーー
不思議に思った。
何故か、先輩のメールにしては
呆気なさすぎると。
思い過ごしかもしれないけど
そんな気がしてならなかった。
それから、どうして来れないのか
メールをしても返事はない。
やっぱり、思い過ごしじゃなかった。
そんな心配をしている暇もなく
事件は起きた。
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