第1話

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「あのさぁ、あたしずっとね、 カズ先輩って人は椿の事好きなんだと思ってた。」 口に含んでいたお茶を吹きそうになる。 次の日の昼休み。 美夏は平然とした顔でそう言った。 「いいい、今なんて?」 「だって、元彼の先輩がなんで椿をほっとかないの?元彼と別れてかなり経つのに。その間、先輩だって彼女くらいいたでしょ?」 「そういう話聞かないな…。」 「おかしくない?椿とは繋がってたいんじゃない?」 紙パックの紅茶を飲みながら、美夏は上目遣いでこっちを見る。 「いや、そういうのじゃないと思うよ。妹みたいな感じなんじゃない?」 美夏は「ふーん。」と言って、窓の外を見た。 「そう思ってるの、椿だけだと思うなぁ。」 「え?」 聞こえないふりをしたけど しっかり聞こえてる。 もしかしたら、そんなはずないと 思いたかったのかもしれない。 「なんでもなーい。」 美夏はこっちを見ることもなく静かになった。 ブー ブー ブー ブー 机の上で携帯が鳴る。 小さな液晶の窓に先輩の名前が流れた。 それを横目で見た美夏は、また 「ふーん。」と言いながら笑う。 ーーーーーーーーーー 受信:カズ先輩 件名:返事遅れた 本文:すまん、部活忙しくて。   それから、俺は花火大会   行かないわ! ーーーーーーーーーー 不思議に思った。 何故か、先輩のメールにしては 呆気なさすぎると。 思い過ごしかもしれないけど そんな気がしてならなかった。 それから、どうして来れないのか メールをしても返事はない。 やっぱり、思い過ごしじゃなかった。 そんな心配をしている暇もなく 事件は起きた。   
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