28  終焉

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キィィィ スキール音を奏で、ホイールスピンしたセルシオが急旋回でUの字に曲折した。 ドタドタドタドタ 複数の靴音が駐車場内をにぎわせ 走行するセルシオ目掛け、奴等が追いかけて来る。 周りには一切目もくれず、セルシオのみを追いかけて来るイかれた鬱火病の様なキチガイ共 順路を逆走するセルシオが直進 その後ろから…斜め後方から… 縁石を飛び越え、柵を乗り越え奴等はやって来る 一息ついて休む者も、疲れて歩き出す者もいない… 欠損した四肢をもろともせず、血眼な形相で奴等は向かって来た。 グルグル駐車場内を走り回るセルシオが追走する奴等に追い込まれ 幾度も車のボディーにタッチを許していた。 その度 掴もうとする手が加速され、引き離され、バランスを崩して転倒していく亡鬼達 その度 高林は肝を冷やしていた。 いつまで逃げ回ればいい…? 矢口さん 早く… 生きた心地のしない恐怖の時間 高林はこの空間を必死な鬼ごっこで逃げ回る… ーーーーーーーーーーーーーーーー 大地を揺らす程の力強い踏みしめ 準備運動と言わんばかりに、再び左足が高々と上げられ、地に着けられた。 「せ…拙者の得意決まり手は…掬い投げ…あとは…背骨をバキバキへし折る鯖折り…サバ…味噌煮が我が輩の好物ばってん…ちゃんこにおろしニンニクは入れて欲しくないです…何故かって?僕は今夜念願の早智子ちゃんとディナーなのでエチケットです ニンニク臭ぁ~て デリカシーなぁ~てディスられたらガラスのハートなので えぇ こう見えてもナイーブなガラスの十代ですから」 ブツブツ四股を踏みながら呟く力士モドキ野郎 矢口「山本さん 入力代わって下さい」 山本「え?」 矢口「早く あいつは俺が食い止めますから代わりに」 すると矢口が車内から飛び出し立てかけられた金属バットを掴んだ 山本「代わるって何をすれば?」 矢口「後1桁まで解読したんで後は最後の数字を10通り打ち込んでいけば初期化されます それから新たなパスコードを適当に入れればエンジンがかかります」 山本「分かりました やってみます…でも矢口さんあんなの相手に…」 矢口「いいから俺にかまわず集中して下さい」 山本が矢口に代わってECUに面と向かい指を走らせた。
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