28  終焉

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ボンネットへと倒れ込んだ背中 円形のヒビが広がり 鯖折りが解除されると共に力士型感染者が頭部をフロントガラスに打ちつけた。 衝撃で車内のエアーバッグが作動 山本「うぷ…な…なんだこれ…」 山本が顔、身体をクッションにうずめた。 山本は慌てながら助手席に置かれたナイフを手探りし、掴むやすぐにクッションへ突き刺した。 割れた風船の如く、急速に萎んでいくエアークッション 地に足を着け、歪んだ表情の矢口へ 山本「矢口さん 今の内です 乗って下さい」 矢口が腰を押さえながら、歪めた表情で頷きながら車へ乗り込もうとした時 ボンネットに乗る力士型感染者を落とそうと山本がレクサスをバックさせた時に… 力士型感染者が何事も無かったかのように上体を起きあがらせた。 山本「な…」 すると 力士型感染者が突如矢口の股に腕を入れ、矢口は抱え込まれ、身体が持ち上げられた。 ボディスラム態勢で抱え込まれてしまった矢口 それから お相撲野郎がバックするレクサス目掛け、小走りで助走 バコン 今度はオクラホマスタンピートで矢口の身体をボンネットへと叩きつけた。 矢口「ぐは」 贅肉の鎧を纏いし体重が乗せられたダイナミックなパワースラムを受けた矢口 ボンネットは大きくへこみ、全損したフロントガラスの割れた破片と一緒に矢口の両足が車内へ入り込んで来た。 山本「矢口さん! わぁぁ」 ガシャアアアアァ またブレーキを踏み損ねた車が車止めを乗り越え、壁に激突した。 バンパーが大きくヘコミ、割れたテールランプやドアガラスの破片が散乱するレクサス 山本「いつつ」 ハンドルに顔を埋めた山本がハッと顔を上げるや、ボンネットに倒れ込む矢口の姿を目にした。 そして車内に入り込む矢口の足を揺すりながら 山本「矢口さん 矢口さん 大丈夫ですか?」 矢口「うぅぐぅぅ 少しばかり駄目です…動けない…」 仰向けで弱々しい声音を発する矢口を目にした矢先 山本は力士型感染がいなくなっている事に気が付いた 消えた…何処いった…? 車内からキョロキョロ目を配り奴を探すのだが あの巨漢が消えている。
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