28  終焉

223/293
前へ
/1159ページ
次へ
車内に腕を伸ばし、入り込もうとする力士型感染者へ矢口がバットの先端で打突した。 キィィィー バチコン 急カーブする車 車内で矢口はよろけ、しがみつく感染者も鼻が潰れ、態勢を崩した。 内部に引っ掛けられた両手 矢口はその手を眼にするや何度もバットを振るい始めた。 バコン バカァ グシャ   骨が砕けただろう音が聞こえるのだが…未だその手は離されない この手を早く離せ… 走行中の安定しない車内で何度もバットを打ち込んで行く矢口 鬱血した手は真っ赤に腫れ上がるのだが…一向に外れない すると再び力士型感染者が身を乗り出し、車内へ入り込もうとして来た。 バコォ だが…既に迎撃態勢を取る矢口からバットが打ち込まれる。 狭き車内でコンパクトに振るわれたスイングが感染者の顔面を捕らえ、その拍子に片手が外れた。 力士型感染者の上体が宙ぶらりんになった。 キィィィー 直角を減速無きスピードで曲がったレクサス すると遠心力で感染者の身体が半転、側部のフェンダーに足をぶつけた。 矢口は前方に振り返るや「山本さん!関取が左側にしがみついてる あの前の支柱に左をぶつけるつもりで通過してくれ 奴を柱にぶち当てて振り落として下さい」 サイドミラーへ視線を向けた山本 車体側部にしがみつく関取を視認するや山本は頷き、スピードを上げながら支柱へと幅を寄せて行った。 ボディーに接触するかしないかのギリギリのライン取りで支柱に接近する車 山本「行きます 関取をぶつけますよ」 矢口「ぶつけて」 矢口が頭を抱えながら、接触に備え、気を張った。 次の瞬間 ガリガリガリガリ 車のドアを擦らせながらレクサスがギリギリ支柱を通過 同時に  ドカア っと接触音が鳴ると共に支柱の壁に激突した力士型感染者の姿 車内に掴まれた左腕のみを残し 本体は剥がれて地面を転げていた。 山本「やりましたか?」 矢口「剥がれました!成功です よし そのまま上行って高林君を連れてそのまま脱出です」 山本「了解」 矢口は切断され残された腕を剥がし、外へと捨てた。
/1159ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7575人が本棚に入れています
本棚に追加