28  終焉

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上体が斜めから斬り裂かれた中川の死体 バラバラに朽ち果て死骸となる近藤の肉塊 首無しな堀口の屍体 そして ブラウスが真っ赤に血で染まり安らかに目を閉ざした由美の遺体と… 次々に仲間の命が奪われ この空間に既に4つもの骸が転がっていた。 全て理沙によって奪われた命… 許せない… 1階エントランスホール エレナ、江藤vs理沙 断続的に続く地震の様な揺れ 崩落が始まり細かなセメント片や鉄鋼物が天井から落下 いくつもの非常灯は消え 有毒な煙もエントランス内へと入り込んでいた。 かろうじて1階までまだ火の手は迫っていないが… 包まれるまでそう時間はかからないだろう… 全焼、全壊まで1時間を切っていた。 新たに生え替わる新鮮な触手が長刃、ククリナイフを拾いあげた。 3つの頭部が串刺さるサーベルを一振りした理沙が2人を交互に見据えた。 理沙「あれれ?さっきのヒューマンがいなくなくなくない?逃げちゃったあ~」 ARを構えるエレナ サバイバルナイフを構える江藤に緊張が走った。 理沙「まぁ いっかぁ~ まだ2匹いるしねぇ~」 コア(弱点)が同じ箇所とは限らない… あの厄介な復元能力がある限り… 闇雲に撃っても奴に銃弾は通用しない… どうすればいい… 江藤が警戒しながらエレナへと近づいた。 江藤「岩渕さんは治療で一時撤退して貰ったよ」 エレナ「うん…それよりごめんね 私のせいで」 江藤「え?何が?」 エレナ「あいつを倒す機会は何度もあったのにその都度私の詰めが甘くて…そのせいで出さなくてもいい犠牲者を出してしまった…私のせいだよ…」 江藤「それは違うよ…責任と言うなら犠牲者が出る前にあいつを倒せなかった俺にもある まぁ 悔やむなら生き残った後いくらでも時間はあるから…後で一緒に悔やもうよ…だから今はとりあえず忘れて」 エレナ「うん…ありがと江藤さん」 江藤「それと付け加えるなら…悪いのは全部あいつだ!あいつが悪い 全てはあいつにぶつけてやればいい」 江藤と目を合わせたエレナ エレナ「うん…うん…そうだね…」 江藤「目の前にいるあいつは人じゃない…あいつは人を滅ぼす為だけに生まれ、現れた神の使い魔なんだから…」
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