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ある晴れた朝
運良く生き残ったエレナは、愛犬を助手席に乗せ靖国通りを車で走らせていた。
博多からただ闇雲に、止まる事を拒み、絶望を募らせながら…
そして、大都市新宿へ突入した。
エレナが燃料メーターへ視線を向けるとゲージが振り切れている。
いつ停止してもおかしくない状況
よりによってこんな大都市のド真ん中で立ち往生なんて…
何とか通過するまで持ちこたえて…
汗ばむ手でハンドルを強く握り締め願うがとうとうガス欠を起こし、エンジンがストップ
車は惰性で走行するも完全に停止してしまった。
焦るエレナは、すぐに車から降り辺りを見渡した。
街は、静寂に包まれ人影は見当たらない…一瞬でも奴等に出くわさなかった事にエレナは胸を撫で下ろした。
エレナが恐れているのは、特に感染者の存在!奴等は通常の身体能力 いや!むしろ脳の抑制が効かない分、筋肉が悲鳴を上げようが、破壊されようが執拗に追いかけて来る者達
疲れを知らない、途中で諦めたりもしない、命乞いも通用しない、一度見つかれば視界から消えるまでひたすら血肉を求め襲いかかって来る。
エレナは、道中、眼を覆いたくなる光景を何度も見ている為奴等の脅威を誰よりも肌で感じていた。
愛犬の頭を撫でながらホッとした瞬間
静けさを切り裂き…
突如、遠方からうめき声が聞こえてきた。
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