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オラは、オラ=オラオ=田吾作。
日系三世の農夫だった…
「今日も暑いずら~」
灼熱地獄と化した畑の真ん中でオラオはボヤク。
元はと言えば寝過ごしたオラオの自業自得なのだが、雲一つ無い強烈な日射しを浴びながらの農作業となれば、愚痴の一つも言いたくなるのは共感しても良い。
しかし
夏真っ盛りの農作業は、涼しい早朝や夕方に済ませる為、日中に畑を耕すオラオは残念な部類に入るだろう…
残念と言えば、オラオの外見も残念と言える。
つぶらな瞳と言えば聞こえが良いが、ただ小さいだけの目。
横に広がる低い鼻。
ケツアゴ。
そして…
暑苦しさしか感じないロン毛。
髪は自分で切っている為仕方無いと言えばそうなのだが…
でもキモいです。
さて、そんなオラオだが一つの重大な岐路に立たされていた。
「木陰で休まないとオラ死んでしまうずら」
なら、休めよ。
私でもそう思う。
オラオが悩むには当然理由がある、森には魔物が居る為である。
村の近くは見通しも良く、逃げ込むのも容易なのだが、オラオの畑は森を切り開いて作った畑の為に、見通しは悪い森の側、村に逃げ込むのも遠い。
現にオラオの父は森を切り開き、後一歩で畑が出来上がる直前に魔物に喰われている。
母は無く、父を失ったオラオは生きて行く為に農夫になる決意を固め、働き始めた。
それは、オラオ23才の春の事だった。
普通は10代半ばから働くんだけどね~
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