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晴れた空の下、街道沿いの小麦畑の小麦が風に揺れ緑の海原を形作る。
その緑の海原が舞散る埃で、その色を変える
埃の原因となった騎馬隊はオラオの村を取り囲み異様な雰囲気を醸し出していた。
「くまなく辺りを捜索せよ。
上官の指示を聞き慎重に作戦にあたれ!」
上官らしき女性の号令で兵が各班ごとに散らばると、その女性士官?は馬首を村に向け進み行く。
この平和な村で騎士の出動に絡む嘆願等は無い。
彼等の突然の登場を訝しげな表情で見守る老人達を後目に彼女は数人の護衛と共に長老の家に向かうのだった。
「勅命である、村の食糧を接収させて戴く。」
「それは……後無体な!
このような小さな村にそれほどの蓄えがあるとお思いですか?」
「言った筈だ。勅命である、無理は承知してる。多少の犠牲はいとわないらしい。」
「それほどまでの勅命とは一体どの様な事か伺って宜しいでしょうか?」
「聞けば首が飛ぶがよろしいか?」
そんなやり取りの後、長老は聞くのを諦め村人にどう説明をするか頭を悩ますのだった。
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