ダンジョン始めました

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村に到着した兵達はおよそ50騎程であり、これは軍隊としては少ない編成である。 だが、この村の住人がほぼ倍になるには十分な数であった。 今はまだ大丈夫。 秋に入り、自然の恵みである食糧が多い時期だから。 だが、冬になれば足りない。 村長は苦渋の決断をしなければならない 不思議そうな顔で村に残っていた老人達が集まるなか、村長はその口を開く。 「食糧の徴収だそうだ」 「「「あんまりじゃ」」 「儂らに死ねと言うのか?」、「こんな村に蓄え等奴等は一体何を考えておるのじゃ、最近の騎士は全くなっておらん」 「儂が若い頃は食糧の調達は自給自足じゃったぞ」 「あたしゃあ~孫の為に山に行くべか」「梅さんや一緒に逝くべや」 「んだんだナンマンダブナンマンダブ」 何処の世も女性は強い。 『じゃがのう…梅さんや本当に良いのか?』 『儂ゃまだ死にたくない…』 『だまらっしゃい!男のクセにグダグダこまけぇ事を言うでないわ。あたしらより若い者が死ぬのは好かん』 ゴネるじい様連中も、次に命を繋ぐ為ばあ様達の達観した言葉の前に口をつぐむしか無い。 『じゃが、直ぐにではないぞ。なるべく沢山の食糧を集めてからじゃ』 『稲刈りは終わっておるが小麦が今からじゃのう』 『まだ人手が必要じゃからな 』 『うちの嫁に秘伝のぬか床を渡す時がきたか』 『ワシのところは出汁じゃの』 『おお、あの出汁か!アレはどうやって作るんじゃ?』 『教えるもんかい。一子相伝の出汁じゃわ』 『どんだけ~~』 既に老人会の雑談場に変わりゆく場に村長は空気と化していた。
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